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射出成形

射出成形とは

材料(粒状のペレット)を射出成形機で溶かし、金型に流して固める工程です。適切な成形条件を設定し、安定した製品が作れます。樹脂加工の最も基本的な技術です。

射出成形の工程は、大きく分けると「溶かす」「流す」「固める」の3つになります。まずは予備乾燥でペレットの水分を飛ばし、ホッパーに投入します。その後は加熱されたシリンダとスクリュー回転のせん断熱で溶かし、製品容量分の樹脂を計量します。そして金型へ流した後に、冷却して固めます。

射出成形機とは

射出成形をする機械です。弊社が有するのは20〜100トンクラス。20トンは指の上に乗るようなサイズ、50トン~100トンは手のひらに乗るサイズの機構部品が製造できます。弊社の機械は最長でも約6mですが、手のひらサイズ以上の機構部品を作るとなると、10〜15mの大型機械が必要です。機械のサイズや、製造する部品の個数によって使う技術は異なります。

機構部品

機械や装置に組み込まれる小さな部品です。弊社では、磁材と樹脂を混錬した「プラスチックマグネット」やPPS(ポリフェニレンサルファイド)などの高機能樹脂製品を製造。カーエアコンやブザー、センサー、モーターなどに使われています。

金型

射出成形において、材料を流し込むための型です。弊社は「丸いものを丸く作る」ことに長けていますが、それは金型製作の技術が8割だと思っています。射出成形だけでなく、金型を作る高い技術も持ち合わせています。3方向スライドや4方向スライドなど、複雑な部品の製造も可能です。

成形条件

安定した製品を生産し続けるためには、成形条件の設定が必要不可欠です。ここでは、射出成形の工程ごとに注意すべき条件について解説します。

私たちの仕事は、各種の成形条件を最適な状態に調整することです。成形機が同じクオリティーの製品を作り続けられるよう設定し、稼働中も注意深く様子を確認しチェックしています。こうした作業は車で例えれば、ブレーキの効きやタイヤの空気圧、ガソリン、バッテリーの点検に当たります。

同じ条件で、何年も安定した製品が作り続けられるかがポイントです。弊社も初めから上手くいったわけではなく、数々のトライを重ね、各条件を更新しながら今に至っています。

射出成形の工程

溶かす

1つ目の「溶かす」工程でカギとなるのは、加熱する温度やスクリュー回転数、背圧など。これらの諸条件によって樹脂の流れやすさが決まるため、良品と不良品を分ける源流となります。材料によっても適切な温度が異なるので、微妙な加減が必要です。水のようにシャバシャバしていると、バリ(出っ張りやギザギザ)などの不良が起きるので、ある程度の粘度が必要。食品に例えると、マヨネーズのようなイメージです。ただし、これがチューブ状のわさびのような硬さになると、今度は逆に金型の隅々まで流れていきません。

流す

2つ目の「流す」工程では、充填圧力、射出速度、保圧の3つがポイント。流れすぎると金型に材料が多く入りすぎてしまい(オーバーパック)、バリなどの原因に。逆に足りなければ、ショートショット(充填不良)という不具合になります。また、充填圧力をかけすぎると、離型後に割れたり反り返ったりと、内部応力による変形が起きます。また、保圧が足りないと、中に気泡ができたり、ヒケて小さくなったりするなどの寸法不具合に繋がります。

固める

3つ目の「固める」段階でポイントとなる要素は、冷却時間や金型温度などです。適切な条件にしなければ、離型(型から中身だけを取り出すこと)ができなかったり、異常収縮などが起きたりします。

ハヤシテクノの射出成形

弊社で行っている射出成形は、樹脂加工の最も基本的な技術です。ペットボトルなどの中空成形や、フィルムやシートなどのカレンダー成形とは全く異なりますし、樹脂によっては熱硬化性樹脂(加熱によって硬化する)という樹脂が有りますが、基本的にそのような樹脂は扱っていません。弊社では熱可塑性樹脂を用い、一般的な射出成形を行っています。

汎用プラスチック(プラスチックの中でも約8割程を占める、一般的な熱可塑性樹脂のプラスチック)の製品は、ほぼ東南アジアや中国で作られています。弊社は熱可塑性樹脂の中でもスーパーエンプラ樹脂成形を基本とし、日本製という安心感を売りにしています。

まずは試作型を起こし、そこで生じた問題を金型加工・成形条件の両面で解決。そのまま量産型にトレースし、製造検証を行います。同じものを作り続けられる金型の製作と、安定した射出成形という2つの技術を両立しています。また、すでに製品形状が決まっているお客様に対して、材料の相性やゲート口の位置、ゲート点数の変更などの提案やアドバイスも可能です。

PPS(ポリフェニレンサルファイド)

融点が約280℃と、耐熱性に優れた高機能樹脂です。比較的高温な条件設定が必要で、溶解時のガスも出やすくなっています。射出成形の際は、金型内からガスを逃すために、ベント回路を設ける必要があります。

ベント回路

金型内で空気やガスの逃げ道となる隙間です。特に溶解時のガスが出やすいPPSの場合、射出成形の際にベント回路からガスを抜かないと、金型の隅々まで流し込めません。また、ベント回路から樹脂が漏れてバリにならないよう、成形条件の幅を狭くして制御する必要があります。

完全に隙間を開けてしまうと、そこから樹脂が流れてしまうので、5/1000や1/100など小さな隙間からガスを逃します。材料によっては、さらに倍以上の隙間が必要なものもあります。また、ガスが逃げた先に「ポケット」と呼ばれる空洞がないと、どんどん詰まってしまって、外に排出されません。

二色成形

二色成形機を使って、全く異なる樹脂とマグネットを1つの工程で組み合わせます。これによって、樹脂の内側や外側にマグネットを付けることができます。二色成形機でないと完成しない、または二色成形機のほうが不具合の少ない部品も存在します。

一台の機械にシリンダーが2本、金型が2つあります。金型は可動側が180度回転し、まずはA側で樹脂を成形、回転してB側でマグネットを成形します。樹脂成形後取り外しの必要がないため、モーターのような回転軸を持つものは、この二色成形によって芯ズレを最小に抑える事ができます

内径極異方配向・外径極異方配向

金型に磁石を埋め込み、そこにマグネット材を流し込みます。そして、マグネット材が固まるまでに配向させて取り出します。マグネットが内径方向にあるのが「内径極異方」、外径方向にあるのが「外径極異方」です。

ラジアル配向・反発ラジアル配向・アキシャル配向

磁場発生装置を搭載している射出成形機や金型内のマグネットの磁界によって、磁場配向を揃えます。

射出成形機の磁場方向がアキシャル(縦)の時は「アキシャル配向」製品。金型をラジアル(放射状磁場)金型に製作して「ラジアル配向」製品。また、射出成形機と金型をラジアル(放射)金型に製作して「反発ラジアル配向」製品の製作が可能です。

この3つの配向技術は、どのように金型の中に磁場を走らせるかが重要です。磁場回路を想定して金型を作り、ほど良い粘度の樹脂をコンマ数秒で入れるのがベスト。ただし、早すぎると保圧によって、遅すぎると収縮によって配向が乱れてしまうので、金型毎に最良なスピード(成形条件)が求められます。


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